インタビュー

篠塚 昌代さん

(しのづか まさよ)

インタビュー日時:2023年11月04日

卒業:2009年看護医療学部卒

所属:神奈川県私立小学校

肩書:養護教諭

経歴

2005年慶應義塾大学看護医療学部に入学。
2009年から慶應病院小児外科病棟で働きながら、アカデミーキャンプなどにも参加。
2013年から慶應義塾大学保健管理センターの嘱託保健師、2016年以降は神奈川県の私立小・中学校で養護教諭として勤務。

アカデミーキャンプを通して、あらたな進路を考える

--どのようなきっかけでアカデミーキャンプに参加されたのですか?
私自身が幼少期に阪神・淡路大震災を経験していたこともあり、2011年に起こった東日本大震災はとても衝撃でした。中高の時から児童養護施設やホームレスを対象としたボランティア活動に参加する機会も多かったためか、震災後は「被災地に対して何かできることはないか」ということを常に考えていました。そんな時大学同期の友達から、福島の子供たちを対象に静岡で保養キャンプを行う活動(アカデミーキャンプ)の事を教えてもらい、迷わず参加しました。

--参加してみてどうでしたか?
震災という大変な経験をしたにもかかわらず、元気な子供たちと接することができてとても楽しかったです。
また病棟の時はどうしても受け持ちの人数が限られてしまいましたが、アカデミーキャンプでは一度に大勢の子供たちを触れ合えることができ、その点においても魅力を感じました。

養護教諭への転職

--病院勤務から、学校(保健室)へ転職しようと思ったきっかけはなんですか?
やはりアカデミーキャンプでの経験は大きかったです。それ以降病棟以外で働くことを望み、転職活動を行っていたのですが、うまくいかず、、、そんな時、病棟実習に来ていた慶應大学の安田先生から「SFC中高の保健管理センターに空きがあるけど来ない?」と声をかけていただいたのがきっかです。「行きます!」と即答したのを覚えています。

保健管理センターで一緒に働かせていただいた学校医の先生・保健師の先輩方は本当に素晴らしい人ばかりで、いろいろお勉強させていただきました。それもあり、今は独り立ちして働けているのだと思います。

養護教諭としてのやりがい、大変さ

--仕事のやりがいや、大変なことはなんですか?
病棟とは違って道具もないし、また相手が訴えてくる主訴も全然違ったので最初は戸惑いました。「蜂にさされたー!」って子が病棟に入院して来ることはないじゃないですか(笑)
中高の時は部活もあったので怪我も派手なものが多いし、悩みもセンシティブなものが多かったです。またコロナ禍だったので、お昼も黙食だし「友達がいなくてつらい」といった相談も多かったように思います。
また今は小学校なので、例えば怪我をしてきた子供に「どうして怪我しちゃったの?」と聞いても上手に説明ができません。そんな子たちを相手に、100均で売っているミニチュアの机や椅子などの道具も活用しながら、子供たちの話を一つずつ紐解いていくのが大変であり、またそれが面白かったりもします。
それ以外にも、休み時間のたびに子供たちが遊びに来たりもしてくれるので、とても可愛いですね!
病気や怪我以外にも「洋服に墨汁がついたから何とかしてほしい」「寝癖が治らない」など、様々なことを訴えてくる子がいるので、基本何でも屋さんです(笑)

--子供たちとのコミュニケーションツールとなるミニチュア模型

ただ養護教諭だからと言って子供たちだけを相手にしているわけではありません。例えば「インフルエンザが流行しているからこのような対策をしたほうがいい」と学校側に訴えても、他の教職員らは医療の知識がないので一筋縄ではいきません。そのため、自分たちのやりたい施策に対して他の教職員らの理解と協力を得るために、様々な根回しをしなければいけなかったりもします。そういった面では会社勤務と同じですね(笑)

--教職員ともコミュニケーションをとることが多いのですか?
やっぱり一番は子供たちのことでコミュニケーションを図ることが多いです。特にいじめ等のリスクを感じたときは、すぐに担任と連携するようにしています。
ただ子供たちのことだけでなく、今の職場では教職員自身の健康管理も一部任されています。そのため、衛生委員会へ参加したり、教職員の健康診断の結果も確認したりしています。健診結果がよほどの時は声をかけたりしています。ただこのような産業保健分野に類似してくる分野に対しては知識もないので、もう少し勉強したいなと思っています。

将来への展望

アカデミーキャンプへ参加して以降、自分のやりたいことが明確になり、方向転換してキャリアも積んできました。今はまだ、このまま養護教諭として働いていこうと思っていますが、今後のことは分かりません。今は小休憩中ですが、今後また何かのボランティアには参加したいなと思っていますし、何かをきっかけにまたやりたいことは変わるかもしれません。ただ、これからも関わっていく対象は子供たち、という点は変わらないと思います。

皆様へのメッセージ

慶應義塾大学看護医療学部に入学したからこそ、これまで色々な人たちとのご縁を得ることができたのだなと思います。病棟、ボランティア、学校など、様々な場面に関われるのは看護の楽しさだと思います。ただ看護の中でも“養護教諭”という分野に関わっている人はとても少ないです。だからこそ、“養護教諭”の分野で働く人たちのご縁は大事だと思っています。今後少しでも“養護教諭”の分野に興味のある方々とぜひ繋がっていけると嬉しいです!

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