インタビュー

齊藤 純一さん

齊藤 純一さん

(さいとう じゅんいち)

インタビュー日時:2023年11月22日

卒業:2012年看護医療学部卒

所属:株式会社Te & Me

肩書:てとめ訪問看護ステーション江戸川 代表

経歴

東京都葛飾区出身。
卒業後は慶應義塾大学病院にて勤務。活動の場を広げたいと考え、ホスピス機能を持つ有料老人ホームを運営する企業に転職。自身の手で看護師が活躍する場所を切り開こうと、株式会社Te & Meを設立。2023年1月に「てとめ訪問看護ステーション江戸川」を立ち上げる。(会社ホームページ:https://www.tetome.co.jp/

なぜ看護医療学部を選んだのでしょうか

私自身、元々看護師をやりたいという気持ちはありませんでした。看護学部に興味を持ったのは、高校時代に友人が医学部を目指すという話を聞いた時です。人と関わることが好きだったので、看護の道に進もうと決めました。専門的な知識を身につけられるというところも良いと思いました。

在学中の思い出

授業を真面目に受けていたとは言えない方でした。課外活動の方が充実していたかもしれません。実習では大変な思いをした記憶がいくつかあります。
一つ目は、母性領域の実習で、男子禁制の場所の中、一人で授乳室に入らされて、お母さん方から白い目でみられたことです(笑)。あれは苦痛でしかないので、先生方も男子生徒の対応方法を考えた方がいいと思います。ピュアな男子生徒の心が折れます(笑)。
二つ目は、大学2年生に参加した実習の時のことです。当時、もともとの授業態度があまりよくなかったため、先生は私を厳しく指導していたのですが、実習中に、先生と担当患者の清潔ケアを実施していたところ、「あなたはICUでもやっていけるわ」と言われたことは今でも記憶に残っています。

大学病院時代のエピソード

入職1年目の時、「こんな看護師になりたい」というレポートを書く課題で、Wikipedia から引用し、提出したため、怒られると同時に笑われたことがありました。そのような具合で、社会人になってからも、他の同僚より少し指導を受ける機会が多かったです。今考えると、指導されて当たり前のようなお恥ずかしい内容ばかりだったのですが、当時は何がいけなかったのかと悩むことが多く、人として、社会人として、看護師として、どうあるべきなのかを考えさせられました。厳しい指導のおかげで、徐々に勉強にも身が入るようになり、自身としては大きな成長をした年だったと思います。
その後は3年目、4年目でプリセプターを担い、5年目ではチームリーダーも任されるようになりました。
6年目では、まさか学生時代の実習の時に先生から言われたことが現実になるとは思っていなかったのですが、HCUに異動することが決まり、看護師としての専門性をさらに深めることができました。最終的にはプリセプターの統括、教育チームとしての役割を担っていました。
最終的には、病院勤務ならではの知識や技術的な部分が学べた、と感じたところで退職しました。コミュニティを広げて、外の世界をもっと見てみたいという気持ちもありました。

転職

退職後、明確には起業のイメージを持っていませんでしたが、この頃から独立を意識し始め、会社の経営などに興味を持ちました。そして、ホスピス機能を持つ有料老人ホームを運営する企業に転職しました。
最初は地域連携部という部署に配属されました。主な業務内容は、入居を希望する方がいないか、各病院を回り、入居が決まれば、施設に入るまでの手続き等の調整をしていました。 会社は有料老人ホーム内で施設内訪問看護を提供しており、訪問診療医や訪問薬局の方を招くため、病棟勤務時代よりも関わる職種の方が増えました。特にソーシャルワーカーの方々とのやり取りを通じて、病院と地域・在宅間の連携調整をどのように行っているのかを深く知ることとなりました。
また、運営の仕組みづくりにも関わりました。ここで、訪問看護や訪問介護の運営につい
て触れることになりました。実際に有料老人ホームの管理者も務めたので、その経験は今の仕事に生きている実感があります。会社の在籍は2年半でしたが、濃い時間を過ごすことができました。会社の社長に独立したいという意向を伝えたところ、私を気にかけてくれて、色々と経験をさせてくれたことも大きいと思います。

訪問看護を選んだ理由

看護師として、看護師が活躍する場を広げていきたいという思いがありました。まずは最初の一歩を踏み出すため、今できることをしようと決め、これまでの経験を生かして訪問看護事業をスタートさせました。

大切にしていること

私が大切にしていることは「わたしらしく、あなたらしく」です。利用者さんやその家族が「わたしらしく」いられるように支援することはもちろん、働いている職員がちゃんと豊かでないと、いいサービスは提供できないと考えています。働く職員も、「わたしらしく」いられるような環境を作っていきたいです。また、訪問看護の特性上、訪問看護単体では在宅医療は成り立たないので、関連する他の事業所も大切にしていきたいという思いを「あなたらしく」に込めています。
弊社で働く看護師は慶應出身の方が多いです。元々の知り合いや、紹介で入職した方が多いためです。訪問看護は地域密着型なので、開業した地域で同じ思いをもって働いてくれる人材を見つけるというのは難しいところでありますが、こうして人が集まってきてくれました。
仕事を続けやすいよう、個人の抱える事情に合わせた働き方を提案しています。事務所の環境も、過ごしやすいように少しおしゃれな広々とした空間を目指しました。働く職員の健康維持のため、ヨガ・ピラティス教室なども開催しています。

将来への期待

利用者さんも働いている職員も、地域で関わる関係事業所も大切にしつつ、日本の社会のために何をすればよいのかを日々模索しています。
日本の高齢化社会の問題を考えると、在宅医療に関しては、需要は増えています。現在、訪問看護ステーション数は増えていますが、今後、生産年齢人口は減っていき、供給が減っていくことが予想されます。
訪問看護事業を基盤としつつ、それらの課題に対してどのようにアプローチしていくか、様々な事業を展開していきたいという思いがあります。

代表となって良かったこと

地域から評価してもらえたと感じる時です。僕らが訪問看護で関わる方々から感謝もされますし、在宅の主治医の先生方や、ケアマネジャーさんや病院のソーシャルワーカーさんが評価してくれて、またご紹介をいただいたりもします。実際に地域に貢献できていると実感することができます。
私が開業した地区は、他にも開業した訪問看護ステーションが多く、去年から今年にかけて30箇所近く増えています。それぞれの訪問看護ステーションの特徴があるので、横のつながり、訪問看護ステーション同士の関わりも大事にしたいです。

同窓生へメッセージ

看護師の未来は明るい!看護師は、様々な人の価値観、病気や死に直面する仕事だから辛くなることもあると思うけれど、僕らが楽しんでやらないと、いい看護はできないと思っています。看護の力で社会を元気に幸せにしていきましょう!

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